◆母音
母音は呼気がほとんど何の妨げもなく発せられる単音で、子音に対する単音の二大分類の一つ。
(1)音響的には周期波である楽音;
(2)聴覚的には相対的に「聴こえ」が大きく、比較的快感を覚えるもの;
(3)生理的には声道におけるいずれの部位にも閉鎖やせばめなどによる障害を伴わないもの、などと定義される。
これらの分類基準には多くの問題点がある。調音的観点からの分類はもっとも歴史が古い
ため、一般に広く利用されており、次の3点が主たる要素に数えられている。
(1)舌の前後の位置による分類――
舌の前後の位置による分類 | ||
前舌母音 | 前舌面が硬口蓋に近づく | 「イ」「エ」 |
中舌母音 | 中舌面が硬口蓋後部または軟口蓋前後部に近づく | 「ス、ツ、ズ」などに含まれる「ウ」のように両者のほぼ中間にあるもの |
後舌庞晓戈的老公是谁母音 (奥舌母音) | 後舌面が軟口蓋に近づく | 「オ」「ウ」 |
(2)開口度(舌の上下の位置による分類)
開口度(舌の上下の位置による分類) | |||
狭母音 (高母音) | 舌の位置高、口の開き小 | 「イ」「ウ」 | 中国語のi、uより、口の開きが大きい、舌の位置が低い |
広母音 (低母音) | 舌の位置低、口の開き大 | 「ア」 | 中国のaより、口の開き程度小さい |
中開きの母音(半広母音)・ 最好听的dj舞曲网站中閉じの母音(半狭母音)・ 中母音 | 両者の中間の位置する | 「エ」「オ」 | |
(3) 唇の丸めによる分類――
唇の丸めによる分類 | ||
嗨瑶音乐网円唇母音 | 唇が丸められる | 「オ」 |
非円唇母音 | 唇は丸められない | 「「ア」「イ」「ウ」「エ」 |
注意:日本語の母音では「お」だけが円唇音で、ほかの母音は非円唇音である。だたし、非円唇音の「う」が「魚(うお)」というときには、後続する円唇音の「お」に影響されて、円唇音になることもあるのである。
ア 非円唇広母音
イ 非円唇前舌狭母音
ウ 非円唇後舌狭母音
エ 非円唇前舌中母音
オ 円唇後舌中母音
基本5母音の調音位置
左側を向いた人の口の中を模式的に示したもの。
左へ行くほど舌が前に出、上へ行くほど口がせばまることを表す。
なお、[o] のときは唇の丸めを伴う。
◆短長母音の区別がある
「歯切れよく」は日本語の発音の原点、一拍、一拍がだいたい同じくらいの時間で発音され、「機関銃」のような響きを持つと言われる。母音の長短による、言葉の意味がまったく違うのである。
たとえば、 おばさん[obasaN] おばあさん[oba:saN]
席[seki] 世紀[se:ki]
◆連母音(母音接続)を二重母音のような発音する
連母音とは、一語において、または語の連結において、母音が二つ以上連続しているものである。
たとえば、愛[ai] 魚[ɯo] 会う[aɯ] 青い[aoi] 帰る[kaeru]
連母音のうち、密接に結びついているものを特に重母音あるいは二重母音という。
二重母音とは、調音の開始時と終了時で音質を異にする母音のことをいう。調音してい
る間に調音器官の位置が変化することによって生じる。始まりの音質と終わりの音質を比べれば確かに違うが、調音器官がなめらかに移動することによって、聴覚的に1つの母音として認識される。
たとえば、英語の一人称代名詞I[ai]では、二つの連結した母音が一つの音節を構成する。前半の母音は強く長く、後半は弱く短く発音するのである。
それに対して、日本語の「愛」[ai]では、前半の[a]と後半の[i]もそれぞれ[a]と[i]の個性を保持していて、調音の時間も等しい(2モーら)。
日本語では通常の会話において「アイ」、「アウ」、「アエ」、「ウイ」、「オイ」などが二重母音として現れやすい。しかし、ゆっくり丁寧に発音されると母音接続となり、日本語話者の意識では2つの母音として扱われる。
厳密に言えば、日本語には、英語のような二重母音がない。
◆母音の無声化
母音は基本的に有声音であるが、ある音環境においては無声になることがある。すなわち、無声子音にはさまれた狭母音などは、舌の構えはそのままであるが、声帯の振動を伴わないことがある。
■音節の連なりによって、―定の法則に基づく母音の無声化が行われる。
■無声化は鼻濁音と共に、美しい言葉の発音上大きな要素となっている。
歯切れの良さを感じさせる日本語独特の発音。
無声子音とは、『 k ・ s ・ t ・ h ・ p 』
つまり『 か行 ・ さ行 ・ た行 ・ は行 ・ ぱ行 』
□法則□(下の線があるのが無声化される音)
(1)母音 i u が無声子音に挟まれた場合は無声化する。
例 : K i Ku(菊) / C i KaRa(力) / T u KaReRu(疲れる)など
(2)無声子音に続く i u が言葉の終わりになる場合。
例 : aRiMaS u (あります) / KaK u (書く) / KiMoT i (気持ち) …
※ただし助詞・助動詞が続いて一語となる場合は無声化しない。(無声子音にはさまれていない)
例 : 気持ちになる / ありますが / 書くでしょう / もしも / 明日を
(3)i u の他にも例外として、a o も同じ母音を持つ無声子音が続くと無声化する事がある。
例 : K a KaRu(かかる) / K a TaNa(刀) / K o Ko(ここ)
(4)最近は有声子音と無声子音に挟まれた i u も無声化する傾向にある。
例 : MuS u Me(娘) / S u Gi(杉)
(5)語で無声子音に先立つi u
例 : ikiru(生きる)/ uturu(移る)
(6)無声化が続く場合、不明確をさけるために無声化しない場合もある。(無声化する音を2つ続けることは無い)
例 : K i KiC i Gai(聞き違い) / S i KiTuMeRu(敷き詰める) / F u KuSou(服装)
(7)サ行が重なるときも不明確をさけるため無声化しない。
例 : S u SuMu(進む) / S 假如爱有天意插曲i Si(獅子)
◆母音の鼻音化
鼻からも息を出す母音を鼻母音と呼ぶ。標準的な日本語ではこの音は音素としては存在しないが、実際の音では「雰囲気」、「陰影」など撥音(「ん」の音)の次に母音、半母音、摩擦音が続く場合、撥音が鼻母音化するのである。
近年この傾向は公式の場では弱まっているが、東北では、/m, n, ɴ/の前、/p, b, t, d, k, g, s, z/、特に有声音の後で母音の鼻音化が見られる(子音の前の渡り音、鼻腔開放とは別の現象)。これは一般に「東北訛り」の特徴と信じられているが、古い時代の日本語の正しい発音を保存している。また、この傾向は北海道に入ると弱まる。
◆母音の融合(中舌化)
「先生」(センセイ)は、普通の会話で、センセーと発音される。
senseiの二重母音 ei が融合して e: という長母音に変化している。
他の二重母音について、以下のような例がみつかる。
「先公」→ センコー (senkou → senko: ) ou → o:
「うまい」 → ウメー (umai → ume:) ai → e:
「暑い」 → アチー (atsui → achi:) ui → i:
「帰る」 → ケール (kaeru → ke:ru) ae → e:
「凄い」 → スゲー (sugoi → suge:) oi → e:
「ありがたう」 → アリガトー (arigatau → aragao:) au → o:
「言う」 → ユー (iu → yu:) iu → u:
「俺は」 → オラー (oreha → ora:) ea → a:
「言っておく」 → イットク (itteoku → ittoku) eo → o
「てふてふ」(蝶々) → チョウチョウ (tehu → tjo:) eu → o:
上の例は金田一先生がまとめられたものだそうだが、一部が関東方言に特有な音変化で、一部が古語だったり、統一性がないのが気になるのだ。
一方、同様に東北・東関東では、/i, ɯ/の区別が曖昧になり、[ʉ]に融合している。これは古い時代の日本語を反映していない。
結果を下のように表にまとめる。
縦に第一の母音、横に第二の母音を並べる。
a | i | u | e | o | |
a | - | e | o | e | |
i | - | u | |||
u | i | - | |||
e | a | e | o | - | o |
o | e | o | backstreet e | - | |
◆母音同化
同化とは、「ある音素が、これと接して、またはほかの音素を介して、連続している別の異なる音素と等しくなるか、あるいは等しくまでならなくとも、音素の実質の上で、これとの共通点をいっそう多くもつ音素に変化すること。等しい音素に変化することを完全同化、単に共通点の多い別の音素に変化することを不完全同化(部分同化)という。また,先行する音素に同化することを進化同化、後続する音素に同化することを逆行同化,前後の音素が相互に同化することを相互同化という。」
例: ①できる(出来る)→ でける
dekiru → dekeru
②ふろしき(風呂敷)→double dribble ふるしき
hurosiki → hurusiki
③よもやも(四方八方)→ よもやま
jomojamo →jomojama
④えびす(夷)→ えべす
ebisu→ebesu (完全顺同化)
⑤くびす(踝)→ きびす
kubisu→kibisu
⑥さむい(寒い)→ さみい (完全逆同化)
samui→samii
⑦ながいき(長息)→ なげき(嘆き)
nagaiki →nageki (元音“a”“i”相互同化转为“e”)
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