『百年の孤独』
瀬文(加瀬亮)は、一人でニノマエ(神木隆之介)に戦いを挑むが、
ニノマエのスペックを前に満身創痍。絶体絶命のピンチに陥る。
するとそこへ、当麻(戸田恵梨香)が現れた!
自分の時間の速度に変えたニノマエは、雪が舞う中ゆっくりと歩き回る。
その時、当麻の口元がかすかに動く。
「動いた!?
 この能力は僕だけのはずだ!」
ニノマエは当麻、瀬文の皮膚が赤く爛れていることに気付く。
「うん????なんだこれ。」
ニノマエの手、顔にも同じ発疹が。その痛み、呼吸困難に陥り
その場に倒れてしまう。
「何をした!」
ニノマエが倒れると、時間が元のスピードに戻っていく。
「瀬文さん!」
「当麻???」
「目やられたか。
 瀬文さん!雪を避けて下さい。」
「どうして??」とニノマエ。
「雪の中に毒を仕込んでおいた。
 あんたのSPECは、私たちの数万倍のスピードでこの世界を
 動き回る能力ってこと。
 だったら、あんたに付着した毒は、私たちより数万倍の
 スピードで、あんたの肉体を蝕んでいくはず。
 私たちもダメージを負うけど、私たちがこの毒でやられる
 前に必ずあんたの方がやられる。
 乱暴な賭けだったけど???私たちの勝ちだ!」
「チクショーーーーッ!!」
SPEC 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿 DVD-BOX
キングレコード 2011-03-23
by G-Tools
防護服を身につけ毒入りの雪を降らせていたのは、当麻に手伝いを
申し出た馬場(岡田浩暉)、鹿浜(松澤一之)、猪俣(載寧龍二)。
馬場に言われ、マスクを外し様子を見る猪俣。
「あれ???染みる。」
「毒を止めろ!止めろ!」と当麻。
「ストップ。ストップじゃ言うとります。」
馬場たちが雪を止める。
当麻は、ニノマエの耳の後ろの星型のアザに気付く。
「???そんなはずは。
 まさか???まさか陽太!?
 そんな??そんなことって???。」
「そんなことがあるんだなー、驚く事に。」
いつの間にか、地居(城田優)がいた。
「雪は止んだが雨は降る。
 ニノマエは君の弟だよ。」
「???」
「驚いた?
 この僕が、こいつの記憶を奪ったからさ。7年前にね。」
エウテルペ下载
「嘘だ。だって年齢が!」
「そう。僕達の1秒間で彼は何日も過ごしていたりする。
 その分成長しているんだよ。まだこれで13才だけどね。
 7年前の飛行機事故で奇跡的に、というか、
 その時、時を止める能力が芽生えて生き残ったんだよ。」
「何で知ってんの?
「飛行機と共に炎上する大好きなパパとママを見て、
 心の底から時を止めたかったんだろうね。
 感動的な話さ。」鼻で笑い、気を失ったニノマエを蹴飛ばす地居。
「時を止めるなんて、人類最高のスペックだと思わない?
 でも本当の意味でそれをコントロールしたのは、僕なんだよ。」
「???コントロール?」
「ニノマエが君を憎んでいる理由知ってる?」
「???」
当麻はニノマエが爆弾魔、両親を殺した、と言っていたことを思い出す。
「そう。僕が書き換えた偽の記憶だよ。」
「じゃ??何もかも??あんたが仕組んだの?」
「そう。そして僕の想像通り、あんなすごい能力に君は勝った。
 ふふふ。最高の脳だよ、全く。フフフフ。」
笑いながらピョンピョン飛び跳ねる地居。
この行動、ニノマエと同じなんですよね。
地居はもう一人のニノマエなのか?とも思ってしまった。
「テメー。」
地居の声のする方に銃を向ける瀬文。
「瀬文。見えてねーんだろ?この凡人が。
 撃ってみろよ。」
地居は瀬文を蹴り上げ、銃を奪う。
ニノマエに寄り添う当麻。
「???陽太。陽太。」
陽太のてを握り締め涙する。
「姉ちゃん???。姉??ちゃん??。姉??ちゃん??。」
ニノマエはその手を握り返し???。
「陽太!
 ???陽太!!」
「辛いだろうね。」地居が忍び寄る。
「???」
「そんな顔しないで。
 怒りと悲しみは、人を不幸にするだけだよ。」
「???あんたのせいで???」
地居に殴りかかろうとする当麻。
「大丈夫!」
地居は両手の拳を当麻のに当て???
「消え~る、消え~る、消え~る。」
その場に崩れ落ちる当麻。
「いい子だ!!」
「テメーーーーッ!!」瀬文が叫ぶ。
瀬文に駆け寄る地居。
「当麻に何をした。」
「俺の紗綾を軽々しく呼ぶな!!」
地居は瀬文を蹴り飛ばすと、拳を瀬文のに押し付ける。
「紗綾の為にお前の記憶を書き換える。」
「そんなワケにいくか??刑事魂ナメん???」
抵抗するも気を失う瀬文。
地居はガッツポーズしながら狂ったように笑い続け???
「バカが。」と無表情で呟く。
「当麻くーーん!」
刑事たちの声。
「お!?
 ???紗綾??紗綾!」
気弱な青年の振りをして当麻に駆け寄る地居。
「大丈夫か?君!」「何でここにいる!!」
「紗綾に呼ばれて!
 紗綾、大丈夫か?」
「救急車だ!」
病院
3日間眠り続け、ようやく目を覚ました当麻は、祖母の葉子(大森暁美)や
地居をほっとさせる。
「???今??陽太が??」
陽太が?どうしたの?」と葉子。
「夢見てた。」
記憶を忘れていることに安心する地居。
「もう3日も意識がなかったのよ。」
「もう、大丈夫ですよ。ただ、まだ体が思うように動かない
 でしょうから、暫くは安静に。」と医師。メロン大好きな医師!
「あ、先生。ちょっとお待ちになって。」
葉子は紙袋を手に、医師を追い病室を出ていく。
「瀬文さんは?」
「君より、多く毒を浴びたみたいでね。特に顔がね。
 君は髪の毛で守られていたが、彼はね。
 一時的に失明しているが、時期、回復するだろうとのことだ。」
「野々村係長は?」
「多分、もうすぐ、」
「老兵は死なん!
 それが、私のスペックだ。ダイジョウV!」
に包帯を巻いた野々村がやって来る。
「係長???私たち、本当にあのニノマエを倒したんですか?」
「そうだとも。毒をジューっとね。」
「ニノマエは??死んだんですか?」
「まだ生死の境を彷徨っているが、まず、助からんだろう。」
「???」
「どうぞ。大学の近くのオーガニックハーブ紅茶屋の、
 自家製オーガニックハーブ緑茶です。」
「緑茶?紅茶?どっち?」
野々村、馬場、鹿浜、猪俣にハーブティーを配る地居。
「何しろ、ニノマエと、長い戦いだったからねー。
 まだ現実感がないんだろう。
 僕にも覚えがある。
 長い間追っていた事件を、解決した時の、
 虚脱感っていうの?」
野々村たち、なぜか大笑い。
「じゃ、あとは、彼氏君よろしく。」
「はい。」
「地居君もな、危険も省みず心配して駆けつけてくれるなんて。
 いい話じゃないか。」
「ワハハハハ!」
「バイナラだ。」「斉藤清六!」「ちい散歩!」
野々村、馬場、鹿浜、猪俣は大笑いしながら病室を出ていく。
大笑いはハーブティーのせい?
「そういえば??あんたなんで現場にいたの?」
「君が怖いって言うから、心配になって後をつけたっていうか。」
「???私があんたに??捜査の前に怖いって言ったの?」
「そうだよ。覚えてないの?」
「???」
「寝てなさい。」
瀬文の病室に美鈴(福田沙紀)がお見舞いにやって来る。
瀬文は大イビキで爆睡中。
「瀬文さん??。早く良くなって下さい。
 それまで、今度は私が毎日来ますから。」
瀬文のおでこの汗を拭おうとしたとき、美鈴はあるビジョンを読み取る。
当麻がニノマエに陽太と呼びかけていたこと。
そして、不敵な笑みを浮かべる地居のこと。
「???」
美鈴が当麻の病室に
駆け込む。
「どういうこと!?」
「あ??えーっと??あ、美鈴ちゃん。」
「ニノマエは??当麻さんの、弟だったの?」
「何言ってんの?私の弟は、7年前に死んでる。」
「???」
美鈴は当麻のキャリーバッグに触れてみる。
「陽太!」当麻の叫び声。
ニノマエの耳の後ろの赤い星型のアザが見えた。
「耳の後ろに、ヒトデ型の、アザがあった?」
「???」
「それと同じ型のアザが、ニノマエにもあった。」
「???あイテテテテ。水飲みたい。」
「今持ってくる。」
美鈴は当麻のマグカップを手に取ると、給湯室に向かう。
地居が当麻のマグカップを手に給湯室から出てくる。
給湯室には美鈴が倒れていて???。
当麻の病室
「あれ?美鈴ちゃんは?」
「何か用事思い出したって慌てて帰ったよ。」
「そう。???何だったんだろう。」
瀬文の病室
「理由はわかりませんが、深い眠りについています。
 目も含めて、回復には暫く掛かると。」と医師。
「そうですか???。」と野々村。
当麻の病室
リンゴの皮をむきながら、地居は当麻に尋ねる。
「そういえばさ、俺たち何でこうなったんだっけ?」
「何でって?」
「そのニノマエってやつさえいなければ、今頃とっくに
 俺たち結婚してたんじゃなかった?」
「そんな話しあったっけ。」
リンゴとナイフを洗面台に叩き落す地居。
「何忘れてんだよ。酷いなー。」
地居は拳を軽く当麻のに当てる。
「???」
「そっちが新人刑事の頃、ソフトクリームダラダラこぼしながら
 俺に逆プロポーズしたんだよ。
 って聞いてる?」
地居はもう一度拳を当麻のに当て、偽の記憶を植えつける。
「???そういえば??イッテテテ。」
「大丈夫?」
「うーん。」
「とにかく、仕事が一段落して良かった。」
「うん。」
「だからさ、本当に結婚しよっか。」
「マジ?」
「マジ。
 ていうか、俺が側にいないと、あんた又何しでかすか
 わかんないし。心配で仕方ないよ。」
「???なんか、がボーっとしてて。
 考えとくってことで今日はいいかな。」
「???うん。じゃあ、ゆっくり考えてみて。」
「うん。」
「何これ。」テーブルの上のメモの束を手に取る地居。
「うん?
 ああ、はやぶさの機内時間の計算。
 この前地球に帰ってきた時、一体はやぶさの中は、何日の、
 何時だったんだろうって。」
「ふーん。相対性理論か。でも何ではやぶさ?」
「昔、うちの父がはやぶさの開発に携わってて。」
「え!?あのは
やぶさ?」
「うん。」
2003年9月
「これがはやぶさ?」と陽太。
「ああ。今は太陽の周りを回っている。
 予定通りいけば、4年後の夏には、イトカワの石を拾って、
 戻ってくるぞ。」と父。
「僕も乗りたい!」
「人間を乗せて、イトカワへ行く宇宙船を作るには、
 あと何十年も掛かるだろうなー。」
「私が作る。
 そんで、双子のパラドックスの実験をしたい。」と当麻。
「うん。何歳で帰ってくるかな。計測してみよう。
 はやぶさの起動は、理論上???」
「数式!高まる!」と当麻。
「スウシキ、タカマル!」陽太が真似をする。
そんな家族の様子に微笑む母。
「ねえ、楽しい?」と葉子。
「数式!高まる!」
「スウシキ、タカマル!」
(回想終わり)
病室
「なるほど!いい子だ!」
「わかってる?ね、本当にわかってる?」
「わかってるよー。てか凄いな紗綾!」
「馴れ馴れ慣れしい。」
ギブスで地居のを叩く当麻。
「イタ。」
「楽しいっすか?」看護師が二人に声を掛ける。
鉄格子に囲われた部屋で治療を受けるニノマエ。
「これがニノマエか??。」と馬場。
「まだ子供じゃないか。」と鹿浜。
「子供じゃろうが何じゃろうが、重罪人は許せんわ!
 治療なんてやめて今すぐ殺しましょうよ。」と猪俣。
「バカ野郎。デカに私情は禁物だ。」
「何を奇麗事言うとるんじゃ!」
「やめろ二人とも。
 当麻と瀬文が、命がけで追っていたものが何か考えろ!」と馬場。
「何を言うとるんですか?」
「事件は、解決したんじゃ?」
「何か怪しい??。
 デカの勘とか??信じていなかったが??
 何か騒ぐ。」
「???」
老人(石橋蓮司)と将棋を指す地居。
「僕将棋好きなんですよ。」
「若いのに将棋好きとは見所がある。」
「昔はチェスも好きだったんですけど、チェスの駒は取ったら消える
 だけでしょう?でも将棋の駒は取った瞬間こっちの味方になる。
 そこがいい。」
「君の能力みたいだな。」
「さすが歴史を動かしてきた秘密結社のトップは、
 人に取り入るのが上手ですね。」
「イングランドのグレートロッジからも、直々にお目にかかりたいと、
 やいのやいのうるさい。」
「そっちが来るんだったら会ってやってもいい。」
「伝えておこう。
 で、ニノマエ無き今、何を企んでいる?」
「僕はシナリオライターになりたいですね。」
「シナリオライター。」
「僕のシナリオ通り世界を動かしていきたい。
 例えば、
戦争なんかもそろそろ起こしてみたいですよね。」
「???」
「歴史上一番派手な時代として、盛り上げてみたい。」
「そんなこと出来るわけがない。」
「簡単ですよ。
 何十人かの記憶を書き換えていけば、憎しみが生まれて、
 テロが始まる。セプテンバーイレブンしかりですよ。」
「???もう一つ聞いてもいいかね?」
「どうぞ。」
「何故、当麻にこだわるのかね?
 そもそもは、ニノマエを倒すために始めた、
 ただのゲームじゃないのかね?」
「姉弟対決なら面白いかなーと思って、そういうシナリオにしたんです。
 実際見ごたえあったし。
 そのうちですよ。段々当麻の脳にマジに感動して、
 好きになっていったんです。
 今では本当に愛してる。
 当麻の心を、全てを手に入れたい。
 それが手に入らないなら???この世にない方がいい。」
「瀬文君を巻き込んだのは?」
「???やっぱラブストーリーには恋敵が必要でしょ?
 サブコード絡みで人生をめちゃくちゃにされたやつが、
 ミショウにやってくる。
 彼は、ある事件で心に傷を負っている。
 フフフ。いいファーストシーンでした。アハハハハ??。」
「???お前さん、モテないだろ。」
「???どういう意味だよ。」
「何故なら???世界一、ウザい。」「ウザ!!」
「詰んだよ。津田君。
 歩も目覚めると、金となる。将棋は奥が深いねー。」
将棋盤の上の駒を払いのける地居。
「スペックもない劣等動物が、俺に為口を叩くなーっ!!」
地居、津田が交互に姿を現す。ブブセラの2人組みも登場。
津田が老人に向かい、銃をむけ???3発の銃声が鳴り響く。
地居=津田!?
3発の銃声ということは、子供たちも撃たれてしまった?
この老人は歴史を動かしてきた秘密結社、ということですが、
スペックホルダーではないのですね。
当麻が瀬文の病室を訪れる。
「チーース。
 ???まだ寝てんすかー。長いっすねー。」
当麻は美鈴が持ってきたフルーツバスケットに気付く。
「夢のフルーツバスケットォ!」
ビニールを剥がし、クンクン。
「キウイOK!メロンOK!梨もOK!バナナぎりぎり。
 んふ!」
「ふりかけパインバカウマ!
 マヨメロ、メロメロバカウマ!
 聞いてますぅ?」
瀬文の腕が上がり、当麻を叩こうとする。
「俺のもん、勝手に、食うな。
 味バカ。舌バカ。バカ。」
「いいっすねー。バカ。
 懐かしい気がしますなー。
 ここです。」
「???具合??殴れん。グーッ。」